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今作成中の漫画プロットの公開/作画担当募集

こんにちは。

イチノハを運営しております。いちです。

今年もいよいよ大晦日。2020年も終わろうとしていますね。年越しそばなど、どうしたものかと絶賛悩み中ではございますが、今回の投稿は自分が取り組んでいる漫画の創作活動についてになります。

これから、次にぼくが書こうとしている漫画のプロット(文章のみでメモやセリフ、描写などを書き起こしたもの)を公開します。本来は必要最低限の文字のみで済ませる予定だったのですが、書き進めるうちに形式が変わってしまいました。。。ご了承下さい。閑話休題。

今回公開に踏み切った意図としましては、作業時間の短縮(発行頻度を増やしたい)になります。どうしても僕は絵を描くのが苦手で、常々うまく描いてくださる方がいるのであれば一緒に活動していきたいなと考えておりました。

そこで、今回は僕が考えている話を公開し(あえて設定資料などは公開せず、字面のみで読んでいただく形式)少しでも興味を持ってくださった方とお話させていただきたいなという試みです。

また、もしどなたかお話を聞かせていただけるとなった場合ですが、ネームまではこちらで描いて、純粋に作画と、できればキャラクターデザインをしていただけるといいなと思っています。この辺りは相談ですね。協力しながら活動するのが理想、仕事ではなくあくまで個人創作ですので。

さて。文章なので絵による説得力の補完、また今回の作品は続き物を前提としていることから説明不足な点が多々ございますのでご了承下さい。また、テキストを編集していたソフトからこちらのページにコピペすると、どうも改行が反映されないようで、その辺りも読みにくさを加速させています。。申し訳有りませんが、最低限ブロック分けは行ったのでご容赦下さい。

一つ事前知識として上げておくとすれば、今回の作品の風景イメージは、昔の日本の様子、といった感じですね。和風な設定です。

さて。前置きが長くなってしまいましたが、少しでも楽しんでいただけますと幸いです。

では、御覧ください。

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Title:「二脚延々 其の一 ~逆蜜蜂と神の蜜~」

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主人公1:繰越(ソウエツ)20歳くらい、男

メイン1:ハク(狐の耳をもつ少女)見た目13くらい
登場主1:少女(スズラン)16くらい

登場モブ:女店主、道端の男、町中の男A,B
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(暗闇) 痛い、○い、○○ーー…○くない 苦しい、苦○い、○し○ーー…○しくない (暗闇の中に蝋燭が灯る)  (火の一部が蝶へと輪郭を変え、光の蝶となる) (コマを無視して蝶が軌跡を残す) ほら、私が皆と同じものを見るだけで たちまち世界は黄金色に輝いて (一人の少女の眼球に、蝶はふわりと舞い降りる。 少女はまぶたを閉じることもしない。そしてその眼球には花の模様が) 今日も一匙の安らぎに満たされる。 左目に片手を添え、蝶を包み込む。口の端を持ち上げる少女。  ああ、これが私の、幸せのカタチーー。 「ふふっ」静かに笑う少女の声。 グシャリと握りつぶす左手。バラバラになった光の蝶の描写。 (フッ、と蝋燭が消える)  

ーーーー 
足元、枯れ葉を踏む。乾いた音が、繰越の耳をくすぐる。 ハッとして立ち止まる繰越。 「どうかしたか、繰越よ」問いかけるハク。 「…いや、もう秋かと思ってね」 「道草の弾力など、とうに無くなっておったよ」ハク、思慮を孕んだ目。何かを気にするような、物憂げな雰囲気。 繰越がしゃがみこみ、枯れ葉を一枚手に取る。クシャリと手のひらで握りつぶす。 風が吹く。手のひらを開き、粉状の枯れ葉が舞い上がる。 それを追いかけ、自然見上げるような形で立ち上がる繰越。 「ああ、そうだな」 コマ、カメラを引く。 「行こう。」

  ーー遠影、景色とタイトル挿入ー 
・・・ 
二人の並んで歩く全身描写。 今で言う田舎の風景。小道を歩く2人。遠方に前方から歩いてくる男一人。 「繰越、人だ」 「?ああ、そうだな」 「休もう。恐らく、そう遠くない場所に村があるのだろう」 「いや、問題ない」 「はぁ…」 「ため息をつかれても…」 「繰越」 「?」 下を指差すハク。 「影が伸びない。つまり丁度昼中だ。今日はもう、少なく見ても8里は歩いておろう」 「…わかった、わかった。確かに今日分の10里まではあと少し。それなら村を目にする頃には消化できているだろう」 「よろしい。…すま、、、ありがとう」 「…」苦笑いする繰越。 「さて、それもこれも村があればの話だ、っと」 笑顔とともに振り返るハク 「もし、そこなお人や」 先程の男に尋ねるハク。繰越は太陽を眩しそうにして腕で目元を隠す。 (…疲れているように見えるのだろうか) そんなふうにぼんやりと考える繰越の顔には隈が色濃く浮き出ている。 また、少しコケた顔つきをしていると言えなくもない。 少なくとも、歳不相応に老化して見える程度には。 (時間は限られているが、その中でしっかりと休ませてもらおう。) そう決意し視線を下げると、耳障りな男の声がした。 「おい、そこの男」 見ると男がボロボロの刃物をハクに突きつけていた。 「この娘を傷つけられたくなかったら、有り金全部だしな。 どうせお前らも、あの町で大枚叩くつもりだったんだろぉ?」 (町…??そんな規模の集落があれば、話の一つくらい出回っているはずだが…)  「…おい、その汚い刃物を捨てた方がいいぞ」 「あぁ?あんた自分の立場がわかって…」 ガッ と鈍い音と同時に男が倒れ込む。 はぁ、と顔を覆い、だから言わんこっちゃないとため息をつく繰越。 「まったく、くだらない」 「怪我はないか」 「あぁ。こんなやつに遅れはとらんよ」 「今回は心配していなかったが、”人間”は意外と狡猾なものだ。警戒するくらいが丁度いいんだよ」 「そう、だな」 「気にとどめてくれればいい。それじゃあ、仕舞おうか」 「お?」 「尻尾。耳はともかくそれはごまかせない」 着物の背面が大きくめくれ上がり、立派な尻尾が顔をのぞかせていた。「おお、すまんすまん。さて、、それでこの男、町がどうとかほざいておったが…」 「大枚叩く、とも言ってたな。賭博でも盛んな場所なのか?」 「まぁ、なんでもよい。我々は晴れて休めるというわけだ」 「それもそうか」 「よし、ゆくぞ」 「あぁ、、っと、その前に」 伸びた男を道の外にずらす繰越 「律儀なやつだのぉ…」 「殺したいわけじゃないからな」 伸びた男を道端の木に預ける。それを尻目に歩きだす二人の背中でページ締め。 

 ーー場面転換ーー 町中  

村と言うにはきらびやかで、街と呼ぶには活気の足りない、そんな場所がそこにはあった。「これは…」少し神妙な顔つきになるハク (鼻を少しヒクつかせる)「ハク、どうかしたか?」 真剣な顔から、無邪気な笑顔へと表情を切り替えるハク。 「すごいな。こんな町が発展していたとはーー、お!あそこにあるのは甘味処ではないか!!ゆくぞ繰越!!」 「…?」 ぽつんと取り残される繰越。

  ーー店にてーー 
「もし、店主はおるか」 奥から女が現れる。 「あら?こんなところに女の子のお客なんて珍しいね」 「ああ、私ともう一人だ。一服させてはもらえぬか」 「ふふ、ずいぶんとしっかりした子ですこと。そこに掛けていて」 そうして店の前に備え付けあれた長椅子を指し示す女店主。 「助かる」 「蜜団子でいいのかい?」 会話の最中に横に繰越が座る。 「蜜団子?」 「この村でしか取れない、貴重な蜜をかけた団子のことさ。そこらの水よりも透明な蜜なのに、見る角度によって黄金色にも輝くんだ。それにーー、とても濃い味がするんだよ」 「おお…!ではそれと、茶を二人分」 「毎度」 「団子か。甘味は久々だな」 「ああ。舌鼓を打ちながら、ゆっくりしよう」 「結局、ここまで2里以上はあったからな。今日はここで夜を明かすことになりそうだ」 「…いや、繰越ここはーー…」  ハクが言いかけたその直後「はいよ」 繰越とハクの間に手を入れるように、団子の入った皿を差し出す店主。 「お待ち遠様」 ピクッ、と耳が震えるハク。 「…これはまた美しい」 「嬉しいね。ーーそうだ、特別に」だくだくと蜜をかける店主。 「さ、堪能しておくれ」 ちらと繰越を覗くハク。 「じゃあ、いただきます」 「…いただきます」 頬張る二人。背後で凄絶に笑む店主。 「うっ」と繰越が異変を生じる 

ーー繰越の幻覚の描写ーー

 目の前で火花が散る。全身が弛緩した。最上の幸福と、いっそ苦痛ともとれるような衝撃が身を貫く。 こうした種々の刺激が、刹那の間に繰越を襲った。  (あぁ、このままーー…) 楽になってしまいたい、そう思ったのも、一瞬。 歩け、歩け。アルケアルケアルケアルケアルケーーー…!!! どこからともなく声のような何かが、身体の内側のさらにその内側のどこかから響く。 先程まで身を包んでいた快楽とは真逆の、恐怖と苦痛が繰越の内で蜷局を巻く。 (ぅ、、が、…) 精神世界のその中で、ありもしない床にのたうち回る。 「は、ははははは!!!!」思わずこぼれたといったような笑い。 (そうか、これも赦されはしないのか) 「安心しろ、投げ出すつもりは端からない」 意もしない何かに決意を表明し、まぶたを閉じて、再び開く。 すると世界は、元に戻っていた。 

「フー、フー…」色濃い苦痛を顔に残しながら、荒い息をつく繰越。額には玉のような汗が並んでいた。そんな変化の中でも一際異様なものが一つ。繰越の両脚から、纏う服を通り越して、光が漏れ出ていた。「繰越」 「…大丈夫だ」 「繰越」 「だいじ、、」 「はぁ、、、。ほれ、汗を拭いてやるから顔を上げろ」 「ぁ…」 「っと、その前に…」 持っておれ、と手拭いを繰越に握らせる。 ハクが繰越の両太ももに手をおいた。 ジュッ、とおよそ人体から発せられるとは思えない音がした。 「…ッ」 「おい、ハク、無茶するな…!!」 「気にするな。これは私の役目だからな」 しゅううううううう… 、と消火の様な音を立てながら光が収束する。(”業”が繰越の体内で反発。それを片方のみ取り除くことで収めている)「これでよし」 「ありがとう…」 にこりと笑顔を返すハク。そして表情を引き締めて、店主に凄む。ざわり、と空気が騒ぎ出し、辺りの温度が数段冷え込む。「さて、店主よ」 「…ひっ」信じられないものを見るような目で狼狽える店主。「先程の団子だが、見た目は良かった、見たはな。透き通るような透明な蜜。宝石のように輝く団子。だが品物として出すには、素材の力に甘えすぎだのぅ」一転して柔らかい表情を見せるハク。「…あ、これは申し訳ございませんでした!確かにただ蜜をかけただけの団子など、品物としては下の下!!!おっしゃるとおりでございます!」オホホホ、とわざとらしい笑いでこの状況を切り抜けんとする女を、ハクが再度突き落とす。「貴様、これをどこで手に入れた?」「ヒッ、、こ、この村でしか繁殖しない希少な蜜蜂がおりまして、、」「蜂?馬鹿なことを言うな」ハンっ、と一笑に伏すハク。「これはーー、こんなにも”ヒト臭い”と言うのに 」
「ぅ…ぁ…、、」腰を抜かす店主。なぜ、どうしてという疑問に支配された顔をする。「吐け。これをどこで手に入れた」「すみませんすみません、わからないのです!!」「貴様…」「ただ、この蜜をうちに卸す男どもがいます!あいつらが、旅人に甘味として食わせろと!」はぁ、とため息をつくハク。「繰越、すまなかった。やはりこの場所には気安く立ち入るべきではなかったようだ…。今すぐここを出て…」「いや、ハク。お前が言っていたんじゃないか。今日はもう消化を終えていると」「繰越!」「これは休憩。いわば道草だ。こういうことの1つや2つ、合ったほうが自然だろう」「…くどい。結論を言え」拗ねた顔をしてハクが問う。「お前の腹を満たそう」

・・・
建物の影に隠れる繰越とハク。視線の先には二人の男。小声で話す繰越たち二人。「繰越、わかっておるな?」「あぁ」


ーー回想ーー

「お前の腹を満たそう」「繰越、またお前は…」「”足りなくなってから”見つかるとは限らないだろ?」「、、、ぐっ…、はぁ、わかったよ」「ありがとう」「さて店主、先程蜜を卸す者たちがいると言ったな」「あ、あぁ…言ったけれども…」「次はいつ来る」「…今日、この後だね」「なるほど。では、俺たちはそいつらを付ける。あんたは見逃そう。だからあんたは俺らのことを隠し、いつも通りの振る舞いをしてくれ」「そ、それでいいのかい…?」「あぁ」ほっとする店主。「だが、勘違いするなよ」ーー許したわけではないのだから。最後に再び腰を抜かす店主。

ーー回想終わりーー


「無茶はしない。男達を付け、蜜の出どころを特定。そしてハクが対象の”業”を喰う。簡単な話さ」(簡単…か、、。やはりお前は、業と言うものを勘違いしているな…)「よし、そろそろ移動しよう」「…あぁ」(お前はきっと、その主を救おうとするのだろう)
(いざというときは、私が引きずってでも)

・・・
(なんだここは…??)町の様子とはうって変わり、隙間風の入りそうな頼りない小屋が現れた。男たちはそこに入っていく。
小屋の外壁にたどり着く繰越とハク。「繰越、私が”業”を喰らえば目的は達成だが、対象以外に見られるわけにはいかん。だから男たちが出てくるまではくれぐれも小屋に入らないように」「わかっている」そんな話をしていると、にわかに小屋の中が騒がしくなる。「大変、大変申し訳ございません…!!今日はもう…」信じられないことに、小屋の中から鈴を転がしたような、澄んだ少女の声がした。「なら、仕方ねぇ、なっ!!!」ザラついた男の声、その語尾が跳ねるのと同時、ゴッと鈍い音がして、直後にどさりと、重たいものが床に倒れ込む音がした。(一体何が起こっている…?)繰越は小屋の隙間から中を覗く。「おおっと、もったいねぇ」少女は一人の男に身体を持ち上げられ、その瞳から流れる雫を、別の男が小皿へと受け止めていた。(なんだ、これは…)「まさかこれだけじゃないよな?」下卑た男の声が耳に障る。「え”ぇ”、もちろん、です…」にこりと微笑む少女。「チッ、やりすぎて”ソレ”が血で濁るのもいただけねぇ。おい、水を飲ませろ。”薄まらねぇギリギリ”、わかってんな?」「あぁ」もうひとりの男が返事をする。「おら、鈴蘭さんよ。水をやる。だから絞り出せ。もう在庫がねぇんだ。頼むよ」「も、ちろんですわ」「いいこだ、なっ!!」ゴッ、と再び鈍い音がした。繰越はきつく拳を握りしめるが、その拳をハクが包み込む。「落ち着け」「だが、!これは耐えられそうもない。あまりにも不快だ…」「あぁ、そうだな…不快な”女”だ」「だろう?隙を見て合図をーー…は??」「繰越、やはり引き返そう。な??」ギリッと歯を食いしばる繰越。「…ッ!!!!」「繰越、いいか。”業”は人の願望の現れだ。つまりそれはーー…」問答を許容しない状況と、少女の無事を優先するがゆえの諦念。そこにハクへの憤りが重なったがゆえの逡巡。「ーー俺は行く。」

・・・
スーッ、と静かに引き戸を開ける。「チッ、最近出が悪くねぇか?」「そうだな。このままだと次の注文が…」採れた蜜の量について話す男たちの背後に、繰越がゆらりと現れる。「おい」「…あ?」「どけ」両拳でそれぞれ一人ずつの男の頭を掴み、叩きつける。(絵はコメディ調で表現をマイルドにすること)部屋の奥に、少女は居た。花が咲いたような甘ったるい香気を放ちながら、差し込む月光を浴びている。その様子はぐったりとしている。「大丈夫か?」「…」繰越が少女に近づき、様子を見ようと手をのばす。パンッと乾いた音が響く。少女が繰越の手を払う。「俺はこの町の人間じゃない。安心してくれ」「鬱陶しい…」「え…?」「ひとまずここを出よう。もうこれ以上、君が傷つく必要はないよ」「出る…?」何を言っているのかわからないとばかりに、きょとんと首をかしげる少女。「あは、は、あはははははは!!」突然少女が笑い出す。驚きで固まる繰越。「傷つく?ここを出る?どうして?」
「私はこんなにも愛されているのにーー?」
「ーー」絶句。と同時に衝撃が繰越を襲う。「ガッ」先程昏倒させた男達に、後ろから組み伏せられる。(この男たち、意識がない??)首の座っていない男たちの様子が生理的な恐怖心を生む。「彼らにいいように使われていることが幸せなのか!!?」「人の領域に土足で入り込んできたゲスが、勝手に私を語るなーー…!!」語気も荒くそう放った彼女の瞳が、ぼんやりと光っていることに気づく。(花?)彼女の瞳に花の模様が凛然と輝いていた。突然、纏う雰囲気が和らいで、楽しげに少女は踊りだす。「私の涙は神の蜜。誰もが蕩けて私を求める。そう、私の涙には意味があったの。人を幸福に!巡り巡って誰もに愛される私に!あぁ、あぁ、あの時の痛みも。あの時の苦痛も。全ては私の涙が欲しかった人のちょっとした粗相…。」再び重たい空気へと一変し、その有り様に悲しげな表情を見せる繰越。「そうでなくては、辻褄が合わないでしょう?」けど、と彼女は続ける。「あなたは私を求めていない。あなたは異物。それがすべて」「この状況は君が望んでいると…?」「はぁ…だからそういっているでしょう?」呆れた、興味がない、そんな仕草での返答。「だとしても、蜜で得る関係になんの意味がある!?そんな一方的な…、虚しいだけだろう…」「じゃああなたが殴り飛ばしたその行為はなんなのかしら。それだってあなたのわがままでしょう?だって、悪いのは”私”だものね」「…ーー!」「私のこれは、私のわがまま。そんなことはわかっているわ。でも、あなたのソレと違って私は彼らを満たしている側。そう。だからこそ私は愛されている。必要とされている。それはとても、素敵なことでしょうーー?」
(あぁ、ハクが言っていたのはこのことか…)「君はその力がどいったものかわかっているのか?」「いいえ。だって、どうだっていいじゃない」「あんな、あんなものを四六時中食わされれば、村の奴らは、、!」「次は村人の心配…?とんだ聖人ね。…ーーますます胡散臭い」汚物を見るような目で繰越を見下ろす少女。あれ、となにかに気づいた様子を見せる少女。「あんなー…?”あんな”と言ったかしら。なるほど、なるほど。それならそうと早く言って頂戴な」パンと両手を合わせて、笑顔。「は?」「あなたも私の蜜が欲しかっただけなのね?」「違う、俺は…!」うつむいた少女の様子が一変し、部屋がしんと静まり返る。同時に取り付いていた男たちの拘束が緩んだことに気づく。(よし、ぬけだせるーー!)拘束を抜け出し、改めて少女を見る。思わず、動きを止める繰越。その頬には、一筋の滴が頬を伝っていた。ピクリ、と僅かに少女が動き、ゆったりとした動作でその雫を指先ですくい取った。忘我の果てから帰ってきたと言わんばかりに、緩慢で精細を欠く動作。幽鬼もかくやというその姿は、いっそ神々しい。「舐めて」首を傾け、指を差し出す少女。歳不相応な、凄絶な笑みがそこにはあった。「…」「どうしたの?あなた”も”これが欲しかったんでしょう?」見つめ合う二人。言葉を尽くしても届かないのだと確信した繰越は、手段を変える。「、、、なぁ、勝負をしないか」「?」怪訝な顔をする少女。「その蜜を俺が舐めて、俺が正気を保っていたら、もうその力を使うことをやめてくれ」「…は?そんな話、、、いや、そうね。耐えられるわけがないもの。…いいわよ」「ありがとう」「ふふっ、おかしいわ。あなたがこれから口にするものはいわば原液。それも今採ったばかりのもの…。町で口にしたものとは全くの別物なの。ーーきっと彼らよりも、酷い壊れ方をしてしまうわ」視線の先には先程まで繰越を取り押さえていた二人。「…それでも構わない。始めよう」「…苛立たしい」差し出された手にそっと手を添える。ゆっくりと口元に運び、指先を含み、蜜を舐め取る。さながら儀式のような画。花が咲き乱れ、木の根に口をこじ開けられる感覚。プロックノイズ。臓器の位置がずれたような感覚。まるで水に沈められ、その苦しさを無理やり恍惚に変換されるかのような恐怖。「ぅ…ぁ!!」遠のく意識のその先で、繰越は彼女の記憶を追走するーー。

ーー回想ーー

悪意の具現。影画のようなイメージで人を描くシーン。少女の周りにそれらのヒトヒトヒトーー。(ねぇ、あの娘どうするの?)(忌み子を養うなんて私嫌よーー?)(親も出ていったのに、どうして未だにいるのかしら)影絵のような画で、石やスコップを描く。「お母さん、お母さん、お母さん…!」
少女をいたぶる男。「出ていけ。お前にくれてやる米の一粒もこの村には無い!」「どうして、私はなにもしていないのに!」「うるさい!近づくな!」「やめて…、私は何も悪くない…!」大粒の涙を流す少女。どうして私をおいていったのーー。
少女の周りで、唄い踊る子どもたち。「かわいそうな子、悪魔の子♪その名を鈴蘭、毒の花♪危ない花は、燃やしましょう♪枯れ葉と一緒に、燃やしましょう♪」「やめて、やめて、やめてーー…!」耳を塞ぐ。「きゃはは!」無邪気な笑い声。飛び交う小石。やめて、私が唯一もらった名前”もの”を、傷つけないでーー。
「どうして、みんなこんなことをするのーー?悪魔、忌み子、、、私は皆と同じなのに…」「私は何もしていない。なのにこんなこと”ありえない”。おかしいのは状況。つまり、きっと、みんなが私にこんなことをするのはなにか理由があるんだわ」お母さんは、言っていたもの。少しお出かけしてくるわって。帰ってくるのを待つためには、この村に居なくちゃならないの。暗闇の中で、一人ぼっちで思索にふける少女。自我が芽生えたときからすでに、この状況に居た少女だからこそ。周囲が他の思いを育むことを赦さなかったがゆえの、歪み。彼女はただ、幸福を求める。「私が痛いと、私が叫ぶ。でも話すことは怒られたわ。なら、、、」そこで、ハッとする鈴蘭。「そうだわーー、私はいつも”泣いている”」「あぁ、そうなのね!」天啓を得たと言わんばかりに綺羅びやかな笑顔を浮かべて、月光の元ではしゃぐ鈴蘭。「私の涙が、欲しかったのよ!そうだわ、そうならそうと、言ってくれればいいのに…!」「明日からは私のもとを訪れた方に、私の涙を差し上げましょう」今までに決して浮かべることのなかった笑顔を満面に讃えて、少女は一人、踊りだす。そしてその後。穏やかな眠りについた。
ーー回想終わりーー


はっと目を見開き、覚醒する繰越。「そんな…どうして…!」蜜で狂わない繰越を見て動転する少女。「ーー鈴蘭」ピクリとする鈴蘭。「君の名前は、鈴蘭。間違いないな」「…どうして」「君を見た。蜜を通して」一呼吸の間。「ハッ、蜜を通して?どうせ誰かに聞いたのでしょう?気持ち悪い…」
「俺は歩き続け無ければならない」スルリと足を見せる繰越。驚くべきことに、その足は”そこになかった”。「…なに、それ」「”業”ーー」重たく、ただそれが何であるのかを示す言葉。さしもの少女も、その異質さに絶句する。「俺は歩き続けなければならない」再び衣服を纏いながら、繰越は続ける。「疲れも、痛みも感じない。だから歩いているという実感すら乏しく、季節にすら無頓着になりがちだ。だがこれは、俺の選択の結果だ。すでに対価は、支払われている」「…対価」ハッとして自らの頬を撫でる鈴蘭。「だから俺は、歩き続ける。ーー死ぬまで」
やめて「君の孤独は恐怖に親(ちか)しく、俺の孤独は寂寞のソレだ君の孤独を和らげるのに最適な言葉を、俺は持ち合わせていない。けれど、その蜜は俺に君の”傷”を見せるものだった」やめて「”業”はヒトの行き過ぎた願いの結果背負うものだ。少なくとも俺はそう解釈している」「…だからなに」「君はさっき、俺に与える涙を、どうやって汲(く)み出した?」「やめて…」「君の”辛いとき”を思い出して、泣いたんだろうーー?」「やめて…!!!!」「きっと君の願いの本質は、、」そこで言葉を区切る繰越。とさり、と座り込む鈴蘭。
「君は愛を望み、蜜を生んだ。済まない。君にとって綺麗な話であればよかったんだが…。幸か不幸か、俺の背負っているものが、君の蜜の力を打ち消せるものだった。ただそれだけの話なんだ」苦笑する繰越。「だが、君が望んでいたであろう”蜜の誘惑に打ち勝つ姿”を見せることはできなかったが、”君の蜜の影響を受けない人間もいる”ということを示せたとおもっている」つー、と涙が彼女の頬を伝う。やめて、私を理解しないで。わたしの甘えを暴かないで。「今はそれで、前に進む理由にしてはもらえないだろうか??」繰越は彼女の涙をすくい取り、それを自ら口に運ぶ。「うん、しょっぱいな」にこりと微笑む。こわいの。だめなの。それでも…。「ヒトを信じたいの」「もう”ああこのヒトもか”なんて考える自分が嫌いなの」「でも、人の笑顔はとても恐ろしい、!それでも。叶うのならば、私はーー…!」目にいっぱいの涙を浮かべて、彼女は叫ぶ。繰越は肯定を示しながら、彼女の言葉の続きを待つ。希望を掴んだ、その言葉を。しかし、その願いは叶わない。「あぐぅ!!?」「どうした!?」突如苦しみだす鈴蘭。左の目を抑えながら、床をのたうちまわる。「あああああああ!!!!!」痛みのあまり、抑えていた手を話した鈴蘭。その花(目)からは、芽がでていた。(これは、、、!)「おい、鈴蘭!!!しっかりしろ、!!!!」

ーーー
イタイイタイイタイイタイイタイイタイーーー…!!それは今まで、彼女が”見ようとしなかった”すべての現実(痛み)。「たす、け、、、!」手を伸ばしたその先に居たのは、繰越。歯を食いしばる繰越の表情。人の手に触れたその優しさを、初めて感じた。「ハクーー…!!頼む、この子を…!」いつの間にか隣には少女が居て。叫ぶ彼が、彼女に向ける目線が、否応にも”信頼”を感じさせるものだったから。そして、その必死さが、自分のために向けられたものであることがわかってしまったから。(ああ、この優しさでさえ、他人にむける”愛”よりちっぽけなものだなんて…私にとっては、十分なものなのに)彼女はゆっくりと、意識を手放したーー。

ーーー


様子を伺っていたのだろう相棒の気配を後ろに感じ、繰越は尋ねる。
「ハク、これは…」「華(はな)ノメーー。メは眼であり芽を指す”業”だな」「…ヒトの中の印象を元に具現化するのか?そんなものもあるのか…」「むしろそれが普通だな。さて…」「ハクーー…、頼む、この子を…!」
懇願する繰越。「あぁ」「お前の言いたいことはわかったよ。俺は確かに”業”というものを勘違いしていたんだろう。でも、今この子が死なずに済むなら、俺は助けて…いや、機会を与えてやってほしいと思う」「…お前のその選択で、この娘が”業”の代価を支払うことになっても?」「…っ、それでも、最後の最後でこの子は、自分の望みに気づいていたんだ。やっと…!彼女の救いがこの先に在るのなら、俺は彼女に生きていてほしい…!」「…本当に、甘いやつだなぁ」諦めたように、慈しむように。ハクが繰越を見つめ返す。「頼む」「安心しろ。断る気なんてないさ。ーー私もその優しさに救われているのだから」「ありがとう」「さて。ここからは、私の役目だ」ハクが光りに包まれる。光が収束した後、現れた姿は少女ではなく、9つの尾を持つ、巨大な銀狐だったーー。「我は銀狐。神獣銀狐。その意義に従い、ヒトの”業”を喰らうモノ」朝日が差し込み、薄汚れた小屋の中に、美しい空間が完成する。「貴様の背負う代償はーー…」


・・・
村から離れて、再び道中を歩く二人。「繰越、すまなかった」「?何がだ」「結局、まともに休めておらんだろう」「あぁ、わがままを言ったのは俺だろう」「それもそうか」「…」そっぽを向いて笑うハク。その横で、やれやれと大げさにするハクはすっかり少女の姿に戻っていた。
「ハク」「うん?」「あの子は、新たにどんな”業”を背負うんだ」「…繰越とは真逆だな。肉体的なものではなく、精神的なものになる」「…なるほど」「業はその願いの強度と、それに相反する性質などが具現化する」「俺のものが特殊だと言っていたことがあったよな。それは」「まぁ、旅はまだまだ続くんだ。ゆっくり話そうじゃないか」「それもそうだな」二人はまだまだ、歩き続ける。


・・・
少女は目覚める。ゆっくりと瞼を開き、起き上がる。開いたその目は、白眼となっていた。「ヒッ!!」自分が操作していた男二人に目線をやると、縛り上げられた状態で壁に寄せられている。問題はそこではなく、その姿である。(なに、これ…)彼らは焼け爛れた化け物のような様子になっている。彼女には”そう視えて”いた。(いや、こわい、たすけ…)はっ、と気づく。”光の足跡”。その軌跡が点々と続いていた。少女は立ち上がり、歩きだす。さながら、光に導かれる蝶のように。
ここにまた、新たな旅立ちが一つ。


二脚延々 其の一~逆蜜蜂と神の蜜~ END

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